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開発プラクティス

【読書感想文】『The Elements of User Experience』に学ぶ現場で使えるUX思考法


こんにちは。

フロントエンド歴1年半の管理人のコンです。
5行くらいしか書いてない要求機能をもらい、ワイヤーフレーム書かされてコーディングをやらされている日々です。

自分まだゴールデンウィークやれるっす。やらせてください。

ゴールデンウィーク中に同僚に押し付けられた『The Elements of User Experience -5段階モデルで考えるUXデザイン』とかいう本がめっちゃ勉強になったのを思い出したので感想書きます。


まずちょっと仕事の話をしますね。したくないけど。

私は仕事で自社の業務効率化アプリケーションを作る機会が多々あるのですが、「けっこうみんな使ってくれるアプリ」と「なんか不評なアプリ」みたいなのが出来上がります。

不評だった時にユーザーの皆様からよく言われる文句が
「使いにくい」

ごめんよ。

反省はするけど、人生であんまり反省したことないから反省の仕方がわからない。

そんな中、『The Elements of User Experience -5段階モデルで考えるUXデザイン』という本に出会い、設計プロセスへの見方が大きく変わりました。
デザインの話をしてるんだけど、美術とか人間工学とかの話じゃない。いいね。

この記事では、特定のプログラミングやツールの使い方等のノウハウではなく、ソフトウェア設計をどういう「段階」で捉えて考えるべきかという、私自身の学びと感想を書いていきます。

『The Elements of User Experience』ってどんな本?


『The Elements of User Experience』の原書は2002年に出版された本で、2022年に日本語全訳と著者の追加の視点を加えた『The Elements of User Experience -5段階モデルで考えるUXデザイン』が出版されています。

著者のJesse Jamaes Garrettさんは、ユーザーエクスペリエンス(UX)分野で活躍するデザイナーです。UXコンサルティング会社Adaptive Pathの共同設立者の一人であり、ウェブ開発技術である「Ajax」という用語を提唱し広めたことでも非常に有名ってwikiに書いてありました。

この本は、複雑になりがちなWebサイトやソフトウェア開発における「ユーザーエクスペリエンス(UX)」を、5つの段階(層)に分解して考えるためのフレームワークを提供してくれます。

本書の特徴


特定の技術やツールの解説書ではありません。
プロジェクトを進める上での「考え方」「判断基準」を整理するための本です。

図を多用してコンセプトを掴みやすくしている点、Webに限らず様々な製品・サービス開発に応用できる普遍的な考え方だと感じた点が、私に良い感じに刺さりました。

この本は、こんな人にオススメ

・ソフトウェアやWebサイトの設計・開発プロセスをもっと整理したいと感じている人。
・開発プロジェクトで、関係者との認識齟齬や手戻りの多さに悩んでいる人
(特に!)Excelマクロや現場の小規模ツール開発でも、「作ったものがちゃんと使われる」ように、設計の質を上げたいと考えている人。

本書から得られた知見

「見た目」の前に考えるべきこと:UXデザインの5段階モデル

「使いやすいツールを作ろう!」と思ったとき、つい画面の情報や文字の大小・色といった「見た目」から考え始めてしまいがちです。しかしそれはソフトウェア設計という大きな氷山の一角に過ぎません。

本書で示される「段階」的な考え方に触れて、見た目(本書でいう表層)や画面配置(骨格)の検討はもちろん非常に重要だけれども、それはあくまで土台となる層、つまり  

  • 「そもそも何故作るのか?(戦略層)」  
  • 「具体的に何を作るのか?(要件層)」  
  • 「どういう機能の流れ・情報の構造にするか?(構造層)」  


がしっかりと考えられた後でこそ意味を持つ、ということが分かりました。

表層は骨格に依存し、骨格は構造に依存し、構造は要件依存し、要件は戦略に依存している。

The Elements of User Experience -5段階モデルで考えるUXデザイン Jesse Jamaes Garrett p19


独りよがりを防ぐ:多様な視点を取り入れるチームプレイの重要性


製造現場などの部署では少ない人数、場合によっては一人が企画から開発、運用までやらされる非常にクソみたいなやりがいのあるケースもあると思います。

しかし、本書が示すような多段階のプロセスを見ると、ソフトウェア開発には多様な視点(戦略、要件定義、構造設計、UIデザイン、ユーザーなど)が必要だということがよくわかります。

可能な限り適切なタイミングで、他の人(実際に使う現場の人、改善を指示した上司、関連部署の人など)を巻き込み、意見をまとめ、視点を取り入れることの重要性も、この本から学ぶことができました。

エンジニア、カスタマーサービス、マーケティング担当者が一堂に会して、ひとつのウェブサイトについて話すことは、誰にとっても有意義だ。
自分たちがよく知らない観点からの意見を聞き、それに応える機会を得ることで、製品開発上の問題点や可能な解決策についてより広い視点で考えられるようになる。

The Elements of User Experience -5段階モデルで考えるUXデザイン Jesse Jamaes Garrett p62

まとめ:現場でどう活かすか?


本書で紹介されているような「段階的な思考」は、大規模なWebサービス開発のためだけのものではありません。

日々の業務改善ツールやExcelマクロの開発といった、比較的小さな取り組みにも、十分応用できる考え方だと感じています。

ただ最初から完璧にやろうとする必要はなくて、まずは、

  • 「このツール、本当に〇〇さんが一番使うんだっけ?△△さんはどうだろう?」
  • 「いきなり画面を作る前に、必要な機能を簡単なリストに書き出してみようか」
  • 「このボタンを押したら、次にどうなるのが自然だろう?」


といった、身近なところから試してみるだけでも、きっと「使われないムダ」を減らす変化につながるはずだと思います。

この記事をきっかけに「The Elements of User Experienceの本に興味を持って読んでもらい、皆さんのの一助となれば、私もいい感じにハッピーです。

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