コードレビューって、寿司屋で見習いが大将に握った寿司見せる感覚に近いんですかね?
私はアジと鉄火巻きが好きです。
今日は本屋で衝動買いした『伝わるコードレビュー 開発チームの生産性を高める「上手な伝え方」の教科書』を、スシローで読みながらスマホで感想書いてます。
全てのエンジニアにおすすめした良書だったので、ぜひ広めたい。
この記事では、ソフトウェア開発におけるコードレビューについての非効率や質の悩みを解決する本書を読んだ学びと感想を書いていきます。
文字によるコミュニケーションが苦手な人類に届け我が記事。
伝わるコードレビュー』ってどんな本?
『伝わるコードレビュー』は、株式会社万葉の鳥井雪さん、久保優子さん、諸永彩夏さんが執筆し、島田浩二さんが監修し2025年04月28日に出版された書籍です 。
タイトルの通り、コードレビューにおける「伝え方」、つまり文字によるコミュニケーションに徹底的に焦点を当てています。単なるレビューのやり方だけでなく、どうすれば齟齬なく意図を伝え、受け取ることができるのか、その哲学と具体的なノウハウが書かれています 。
私のようにプルリクでのコードだったりアルゴリズムの説明が苦手な人間にとって、非常にありがたい本でした。
本の特徴
架空の開発チームのストーリーを通して 、具体的なケーススタディと共に学べるのが特徴です。
新人エンジニアのポチ田君や、メンターのタマ本さんなどが、あるあるなGitHubでのプルリクのやり取りを繰り広げてくれるので、読んでいて楽しいです。
しかし内容は、実践に基づいたものであり、具体的な解決策や背景をしっかり解説してくれています。
多くの学びがある一冊です。「チーム開発に関わるすべての人」に向けた本です。
- ・コードレビューのプロセスを効率化したいエンジニア、マネージャー
- ・チームのレビュー文化を改善し、質を高めたい方
- ・レビューでの指摘や意図がうまく伝わらず、文字によるコミュニケーションに課題を感じている方
- ・チーム開発に入ったばかりの初心者の方
- ・レビュー経験豊富なベテランの方
本書から得られた知見
私が個人的に最も大きな収穫は、「チーム開発初心者は、技術スキルよりも先にコミュニケーションを学ぶべきかもしれない」という気づきを得た点です。
エンジニアは、新メンバーにはまずGitの使い方やフレームワークの作法を教えがちですし、自ら学ぶ際も技術主体になりがちな気がします。
しかし、本書を読み進めるうちに、「どんなに優れた技術を持っていても、コミュニケーションが円滑でなければ開発はうまく進まない」という厳然たる事実に気づかされました。
逆に言えば、コミュニケーションさえしっかりできれば、技術的なキャッチアップは後からでもチームでサポートしながら進められるのです。
コードレビューはその最たる例で、「伝える」「受け取る」スキルがなければ、どんなツールを使っても良い結果には繋がらない。この視点は、チームのオンボーディングや育成を考える上で、非常に重要な示唆を与えてくれました。
技術的課題を解決する力は、それぞれの現場が持っています。本書の狙いは、その力を十全に、そしてスムーズにチームの力として活用できるようにすることです。
伝わるコードレビュー 開発チームの生産性を高める「上手な伝え方」の教科書 鳥井雪ら p4
この本で重要だと考えたところ1:「あるある!」の連続と、その普遍性
本書の大きな魅力の一つは、紹介されているケーススタディ が「これ、自分のチーム(あるいは過去の自分)でも経験したことある!」と思えるほどリアルな点です。
- 言葉足らずな指摘コメント
- 意図を汲み取れず、レビュイーが悩んでしまう状況
- 良かれと思った指摘が、相手を萎縮させてしまうケース
- 前提知識が揃っていないためのすれ違い
など、沢山それっぽい経験があった気がします。読みながら何度も頷いたり、自身の過去の出来事を思い返してしまっていました。
そして、これらの「あるある」な失敗は、特定の個人の問題というより、チーム開発におけるコミュニケーション課題を普遍的に示しているのだと思います。
だからこそ、本書で提示される解決策や考え方は、多くの現場で応用可能なのです。具体的なテクニック(「クイズを出さない」、「客観的根拠を示す」 など)を知ることで、明日からのレビュー品質と効率は確実に変わるはずです。
この本で重要だと考えたところ2:テキスト特有の「伝わらなさ」への処方箋
特に印象に残ったのは、テキスト(文字)でのやり取り特有の難しさと、それに対する具体的なアドバイスです。2つ目に書きましたがこの本最大の良いところの1つです。
顔が見えず、声色も伝わらない非同期コミュニケーションでは、意図しない形で相手に受け取られたり、逆に相手の真意を掴みかねたりすることが頻繁に起こります。
テキスト上のコミュニケーションでは、表情や声のトーンなどの情報が伝わらない分、相手の言葉を攻撃的なニュアンスで捉えてしまいがちです。そのため意識して、文章に書かれている以上の事柄を読み取らない訓練をしましょう。
伝わるコードレビュー 開発チームの生産性を高める「上手な伝え方」の教科書 鳥井雪ら p39
本書では、こうしたテキスト特有の課題に対して、「レビューコメントで質問する際は理由や背景を伝える」 、「ディスクリプションに必要な情報を網羅するためのテンプレート活用」 、「客観的な根拠を示す」など、具体的な「処方箋」が多数提示されています。
これらは、日々のコードレビューで「あ、これ気をつけよう」とすぐに実践できるものばかりで、非常に価値があると感じました。
この本で重要だと考えたところ3:「問題 vs 私たち」の意識と信頼関係
本書は単なるコミュニケーションのTIPS集 ではありません。より本質的な「信頼関係の構築」の重要性を説いています 。
特に印象的だったのが、レビューにおいてレビュアーとレビュイーが向き合うのではなく、「コード(が解決すべき問題)に対して、レビュアーとレビュイーが共に立ち向かう」という「問題 vs 私たち」の構図 を作るべきだ、という考え方です。
レビューはどうしても「指摘する側 vs 指摘される側」という対立構造に見えがちですが、本来の目的は「より良いコード(成果物)をチームで作り上げること」のはずです。
この共通認識を持ち、互いを尊重し、率直に意見を交わせる関係性 があれば、多少の言葉足らずや認識の齟齬があっても、建設的な対話で乗り越えられます。
そして、その信頼関係は、日々の「伝わる」コミュニケーションの積み重ねによって築かれるのです。レビューの効率化や質の向上を求めるなら、まずこの土台作りが不可欠だと改めて感じました。
不健全で疑心に満ちた関係性から抜け出し、風通しのよい関係性を築くために必要なこと。それは、レビュアーとレビュイーがお互いを向き合うのではなく、両者ともが問題とその解決へと視線を向けることなのです。
伝わるコードレビュー 開発チームの生産性を高める「上手な伝え方」の教科書 鳥井雪ら p19
まとめ
『伝わるコードレビュー 開発チームの生産性を高める「上手な伝え方」の教科書』は、コードレビューの効率と質を向上させたいと考えるすべての人にとって、必読の一冊です。
- 初心者は、技術スキルの前に身につけるべきチーム開発の基礎として。
- 経験者は、自身のコミュニケーションスタイルを見つめ直し、チームをより良くするためのヒントとして。
本書で紹介されている考え方やTIPSを実践することで、レビューにかかる無駄な時間を削減し、チーム全体の生産性を高め、より良いプロダクト開発に繋げることができるでしょう。
ぜひ手に取って、あなたのチーム開発を加速させてください。
この記事が皆様のお役に立ちましたら、いい感じにハッピーです。